三省
cf. 三つの中央省庁、中書省・門下省・尚書省のこと。
中書省
cf. 官名の由来は、前漢の武帝が中書謁者(宦官にも宮中の文書作成を担当させたもの)
と称する官を置いたことにさかのぼる。また、魏では皇帝の秘書のことを中書と称し
た。
元になると、尚書省に代わって行政の中心になる。この際、地方に設けられた行中
書省(行省<こうしょう>)の名称が、現在も地方行政区分の省の語源。
門下省(もんかしょう)
cf. ここでいう門とは、法案が通過する審議機関として、「物事が出入りしたり、経由
したりする場所」の意味か?
貴族勢力の牙城(敵対する勢力の根拠地)としての審議機関(近世フランスの高等
法院や、三部会での貴族<第二身分>の果たした役割を想起させる)。
五代十国時代から力をなくし、元で廃止された。
尚書省(しょうしょしょう)
cf. 官名は、秦で宮中の文書作成を担当したものに始まる。ここでいう尚とは、「上に
もちあげる。とうとぶ」の意味か?
六部(りくぶ)
cf. 6つの中央省庁、礼部・戸部・刑部・工部・吏部・兵部のこと。
唐代は、三省の中の尚書省に属した。元では尚書省に代わって行政の中心になった
中書省に属し、明では中書省が廃止されて皇帝直属となった。
礼部
…「礼楽儀式などを担当する部署」。
cf. 六部の一つ。唐代の中頃(8世紀前半)に、科挙と学校に関する業務は、吏部から
この礼部に移ったので注意。
戸部(こぶ)
…「戸口(ここう。「戸数と人口」のこと)や財政を担当する部署」。
刑部
…「刑罰に関するきまりや訴訟などを担当する部署」。
工部
…「工事や建築物の造営・修理などを担当する部署」。
吏部
…「官吏の選任などを担当する部署」。
cf. 六部の筆頭機関。唐代の中頃(8世紀前半)に、科挙と学校に関する業務は、この
吏部から礼部に移ったので注意。
兵部
…「兵事(軍隊や戦争に関する事項)や軍政を担当する部署」。